Ambient Media Design 2011 Spring

科目概要
近年ユビキタス技術の進展により、あらゆるものの中に小型のコンピュータが搭載されるようになってきた。
また同時に、デジタルファブリケーション技術(コンピュータ制御工作機械)の普及により、素材の新しい加工法や造形法を開発することもできるようになってきた。本講義では、そうした技術を応用したこれからのインテリア(空間)デザインについて考えていく。

具体的には「新しい表現機構を備えたLED照明装置」と「可動的なファサードコンポーネント」の2つの課題を題材として、マイコンプログラミング、折り紙、ファブリケーション、素材加工、家具デザインといった要素技術とその統合法を習得する。

授業シラバス
近年、あらゆるものの中に小型のコンピュータが搭載されるユビキタス情報技術の進展に伴い、インテリアデザインの分野においても新しい表現が試みられるよ うになってきている。たとえば、LEDを用いた動的な色の表現、モーターを用いた可動的な家具やしつらい、風の制御、環境に呼応する建築ファサードなどが 実験的試みとして生まれてきている。

また同時に、デジタルファブリケーション技術(コンピュータ制御工作機械)の普及により、素材の新しい加工法や造形法を開発することもできるようになって きた。 紙や布、板といった材料を用いて、折り紙や編み物といった古来より続く手法を現代的に拡張しつつ、立体造形の新しい可能性を開拓することもできるようになり つつある。

本講義では、それらの技術を応用したこれからのインテリア(空間)デザインについて考えていく。具体的には、(1) Fab_Light: 「新しい表現機構を備えたLED照明装置」と、(2) Fab_Window: 「動的な建築ファサード(窓)モジュール」の2つの演習を行い、実際に制作作業を行いながら、新しいつくりかたを体得していく。

教材・参考文献
(1) Processing
http://www.processing.org/
推薦書籍:
Built with Processing[Ver. 1.x対応版] -デザイン/アートのためのプログラミング入門
[Link]

(2) Arduino
http://www.arduino.cc/
推薦書籍:
Prototyping Lab ―「作りながら考える」ためのArduino実践レシピ
[Link]
提出課題・試験・成績評価の方法など
ウィークリーレポート 40%
Fab_Light課題 30%
Fab_Window課題 30%

新規情報の提供 +5点
学生の質問に対する回答 +5点
履修上の注意
ProcessingやArduinoのプログラミングの知識があることは前提とします。 あるいは上記の参考書籍を用いて自習してください。 また、毎週、制作課題を出すので、作品制作系の授業との並行履修は良く考えてから行ってください。
授業計画
第1回 ガイダンス
授業のオーバービュー
目的と手法

第2回 アンビエントメディア概論

アンビエントメディアという分野がどのように進展してきたのか、その歴史を体系的に学ぶ。

第3回 Fab_Light(1): LEDを使った動的照明
Arduino+ LED (I2C)を用いて動的に色が変わる照明制御を演習する。

第4回 Fab_Light(2): ペーパーカッター/ビニールカッター
デジタルペーパーカッター/ビニールカッターを用いて、斬新な3次元造形を生み出す手法を演習する。モジュラーデザインとその記述法についても触れる。

第5回 Fab_Light(3): 折り紙、編み紙
折り紙や編み紙の手法を組み合わせて、可逆的な変形を実現する3次元立体を作り出す手法を演習する。

第6回 Fab_Light(4): マテリアル
さまざまな種類の紙を揃えて、その特性を比較し、紙カタログを作製する。

第7回 Fab_Light(5):中間発表レビュー
中間発表のための作品についてレビューする。

第8回 Fab_Light(6):中間発表
Fab_Lightのミニ展覧会を行う。

第9回 Fab_Window(1): モーターを用いた制御

Arduinoと、DC,サーボ,ステッピングの3つのモーターを用いて、可動的なモジュールを実装する。

第10回 Fab_Window(2): レーザーカッター
レーザーカッターを用いて、布や薄い板、段ボール等をカットアウトし、柔軟な斬新な3次元立体を生み出す手法を演習する。

第11回 Fab_Window(3): ハイブリッドマテリアル
複数の素材を組み合わせることで新たな機能や物性を発現させる工夫について演習する。また、撓みや歪みといった物質特性を最大限利用する新しい構造の工夫についても触れる。

第12回 Fab_Window(4): センサリング、モニタリング、ロギング
Arduinoで周囲の人の動きや環境の情報を取得する技法について演習する。

第13回 Fab_Windows(5): 最終発表レビュー
最終発表のためのレビューを行う。

第14回 Fab_Window(6): 最終発表会

最終発表会(ミニ展覧会)を行う。

第15回 ドキュメンテーション、まとめ

この授業で制作したものをポートフォリオにまとめ、1学期間を振り返る。
そして、この授業のさらに先にあるものについて解説する。