Molding and Casting 2015

Molding and Casting 2015

まずは衝撃のビデオから。

2年前の田中研の学生たちがIntro to FabLabで、実施したプロジェクトがこちらです。見てください、先輩たちのこのパワー。

そのきっかけは、このビデオでした。

浜辺で、砂型に、溶かした錫を流し込んで固めて、椅子をつくっている!

そこで、先輩たちは金属のCastingをはじめたのでした。

というわけで、今週の課題はMolding and Casting。

3Dプリンタでは「複雑なかたちのものをひとつだけ」つくることができますが、同じものをたくさんつくることはできません。その場合、3Dプリンタを何度も動かすのでは時間がかかりすぎるため、「型」をつくって、ひとつの「型」から、同じ立体を量産するということをやります。

この「型」をつくることをMolding (モールディング)、その「型」に材料を流し込んで固め、そこから立体を作ることをCasting (キャスティング)と呼びます。

Molding and Castingでは、いろいろな「素材」を使います。

型(モールド)の側は、金属、シリコン、モデリングワックス、ケミカルウッドなどの材料が、キャストの側は、同じくゴム系から、コンクリート、樹脂、氷、金属まで幅広く使えます。

Molding and Castingで一番最初に考えなければいけないことは、”「素材」の組み合わせ”です。

というのも、型(モールド)から、そこで固められた立体を取り出すときに、どちらもが固いもの同士であれば、抜き出すことができません。どちらかが柔らかければ、少しピンセットや先が細いものを差し込んで抜くことができる、あるいは、(型が再利用できなくなってはしまいますが)かなづちで叩いて壊して、中身だけを抜くことができます(「砂型」など)。 でも、どちらの場合にせよ、「2つの材料が同じような硬さ」であってはだめです。

ですので、まず、最終的に何の素材で立体をつくりたいのかを考えましょう。そして、それをつくるための「型」の素材は何が適切なのかを考えましょう。

ところで、「型」をつくる際には、2つのアプローチがあります。

[A] CNCマシンで「型」を削りだして、そこに材料を入れて固めて、立体をつくる。
[B] 3DプリンタやCNCマシンで「立体」をつくりだして、それを「型どり」して、それを固めて「立体」をつくる。

これについては、すでに今学期に前例があります。

綾田さんのチョコレート
http://aytk24.tumblr.com/post/87661598899/cnc-milling
浅野先輩のキャンドル
http://asanoqm.tumblr.com/post/85511250188/my-birthday-candle

これらのアプローチをよく勉強しましょう。
ちなみに、CNCは、原則的に、Rolandの新型「monoFAB (S)」を使ってください。従来のModela、i-modelaの「4倍」の速度で削れます。
Molding and Castingの一般的な失敗例、注意するところは以下です。

1. まず環境と身支度をすること。
この作業は、z104でも、z303でも、「部屋のなかで行ってはいけません」。
ゼータ館の中庭、扉の外で行ってください。作業時は、ゴム手袋をしてください。また、廃液を絶対にキッチンに流さないでください。

2. ゴムにせよ、コンクリートにせよ、これらは「A液」と「B液」を混ぜると硬化が始まります。
その場合、「A液」と「B液」の配合の割合が決定的に重要になります。説明書をよく読んで、適切な配合にすること。そして、その際には必ず「はかり」で重さをはかってください。目分量でやると失敗します。寸分たがわぬ量を混ぜること。

A液とB液を混ぜる際、しっかりとかき混ぜてください。かき混ぜが足りないと、泡が出ます。

3. z104いは、オーブンレンジがあると思います。福田さんお願いします。オーブンレンジで温めると、硬化が著しく速くなります。ただし温度設定は慎重に!

ここで覚えてほしいキーワードに「MSDS (Material Safety Data Sheets)があります。市販されている「材料」は、必ず、ほかのあの材料と混ぜてはダメ、この温度以上にしてはダメ、という安全性能と、耐久性能が書かれた「シート」が付属しています。これは、ネットでも検索して落とせます。

素材は、時に危険なものです。液体をこぼして、指の指紋を無くしてしまった学生も、過去にはいました。また、混ぜてはいけないもの同士を混ぜてしまった学生もいました。必ず、MSDSを読んで、その特性を調べて確認してから扱う、という習慣をつけてください。事故が起こってからでは遅いです!

4. それでも、硬化中に泡が浮き上がってしまうタイプの材料の場合には、針で一生懸命にそれを潰していきます。(いま、それをCNCでやれないか画策中なのですが)。

[SRMによる型のつくりかた]
(1) 両面がぴったりはまるように凹凸穴をつくらなければいけない
(2) 材料を流しこむための穴をあけないといけない
(3) 空気が入るための穴をあけないといけない

[ 東急ハンズに売っている”かたどり君” ]
森川このみ先輩は、実は「かたどり」の天才少女です。いろいろなTipsは、このみ先輩から聞くとよいでしょう。

今週、Castingする材料は、樹脂、コンクリート、金属、なんでも可です。

これが終わればイントロもあと3週を残すのみ。
・センサとビジュアライゼーション
・モータとギア
・ネットワーク

です。