(1-2) Design × Engineering


専門分化した20世紀社会では、デザイナーが外観(ミタメ)を担当しエンジニアが内部機構(シクミ)を担当す
る、もしくはデザイナーがアイディア(企画)を担当しエンジニアが具現化(実装)を担当する、デザイナーが「文
化」を担いエンジニアが「技術」を担う、などの固着化された分業とそれを前提とした教育が行われてきましたが、
21世紀にはその両方を架橋する(双方の素養を兼ね備えた)人材が必要不可欠と考えます。

参照:「もうひとつのデザイン-その方法論を生命に学ぶ-」


さらに「技術」に対する哲学・美学・批評・意味性・文化性などを検討する役割を担う「メディア・アート」と呼ば
れる領域がありますが、より問題解決のための社会応用を強く意識した職能が「デザイン・エンジニア」なの
ではないかと考えています(建築家と大工の棟梁さんの中間といったイメージでしょうか)。


参照:「1995年以後―次世代建築家の語る現代の都市と建築」所収「デザイン・エンジニアを名乗る」


さらに、私には1995年に「ウェブ・デザイナー」という新たな職能が浮上してきたことが昨日のことのように思いだされます。いまでは完全に普通の職能になっていますが、当時は全く新しい職能の台頭でした。現在では成熟とともにウェブ・デザインも専門分化されつつありますが、当時は複合的なスキルを身に付けたごくごく少数の人材がウェブをつくっていました。そこでは、3つの能力―「グラフィック・デザイン(ビジュアルデザインの延長)」「スクリプティング/コーディング(エンジニアリングの延長)」「エディティング(雑誌編集の延長)」を融合することがおのずから求められていたのです。この3つは、それぞれ、従来の美大・理系・文系と捉えることもできます。美大や理系や文系といった垣根の無いところに新たな職能が浮上してきたことは大変新鮮でした。

それからほぼ10~15年が過ぎ、現在は、実世界の「もの」の領域で新しいチャンレジを行う必要が出てきています。筆者の考えでは、新しい3つの能力は、「建築・空間デザイン(インテリア・インスタレーションデザインの延長)」「スクリプティング/コーディング(エンジニアリングの延長、ソフト・ハード問わない)」「ワークショップ/ソーシャルインヴォルブメント/ファシリテーション(マネジメント・コーディングの延長)」だと思います。こうした素養を幅広く身につけることでさまざまな場面に対処できる柔軟性と総合力を獲得することが出来ます。


進路
田中浩也研の学部卒業生の就職先は、放送業界、化粧品業界、商社、広告代理店、アトラクションデザイン、WEBデザイン、建設会社と多岐に渡ります。
大学院生の就職先は、建築設計事務所、展示物/ディスプレイデザイン、インタラクションデザイン、WEBデザインなど、デザインとエンジニアリングの双方のスキルを発揮できる進路を
各自が選択し、新しいビジネス領域を開拓してくれています。