アメリカの大学では、秋学期が9月~12月(4か月弱で13コマ)、春学期が3月~6月(4か月弱で13コマ)というスケジュールです。
1月~2月が冬休み、7月~8月が夏休みです。


4月から留学というのは日本のセメスター制の都合で、ちょっと中途半端な時期かなとも思っていたのですが、ちょうど半年弱をかけて、環境に慣れる、英語に慣れる、生活の基盤をつくる、などができペースがつかめてきましたので、その後、9月からクラスをとるというのには、好都合でした(お勧めです)。逆に言うと、行きなりこちらにきて行きなり講義を受けるというのでは、きっと適応できなかったのではないかと思っています。

というわけで、2010年秋学期は、MITの学部生・大学院生に混じってクラスを取っています。

Prof. Larry SassのComputation Design
Prof. Eric DemaineのOrigami/Folding
Prof. Neil Gershenfeld + Prof. Meejin YoonのHow To Make Almost Anythingを受けています。

どれも、Digital Fabrication/ Digital Materiality/ Programmable Matter/Mediated Matterに関係あります。

そのうち最も重要なのは、How To Make Almost Anything (ほぼ何でもつくる方法)で、この科目はFabLabの教育的側面です。ツールを単に便利なツールと捉えるのではなく、どこまでこれで「自分(たち)で」ものをつくれるようになったのかをきちんと確認するための演習です。どれだけ機材だけを揃えても、この教育プログラムがなければFabLabは生きてこないでしょう。

この科目をコンプリートした日本人は今のところいないようですので、首尾よく行けば私が初となります。
(補足: MIT FabLabを利用されている研究者としては遠藤謙さん、そしてこの科目の兄科目ともいえるHow to Make something that makes almost anythingを卒業された方に、Harvard GSDでDoctor of Designをとられた楢原太郎さんがいらっしゃいます)。

とはいえ、ものすごくハードな構成になっています。
(既に何名か脱落者も出ています)。

授業スケジュール:
1: Final project proposal (最終的につくりたいもののスケッチ、CGモデリング、CGレンダリング、アニメーション、デモを発表)
2: Vynil and Laser cutter (造形1: ビニールカッターとレーザーカッター)
3: PCB Design, Fabrication and Assembly (回路1: PCB基盤と回路とはんだづけ)
4: Waterjet Cuter & NC mills (造形2: CNCマシンとウォータージェット)
5: Microcontroller programming (回路2: 回路のAVRプログラミング)
6: 3D scanning and printing (造形3: 3次元スキャンと3次元プリンティング)
7: input devices (回路3: センサー)
8: molding and casting (造形4: モールディングとキャスティング)
9: Output devices (回路4: アクチュエイター)
10: Composites, joining (造形5: 材料の混合、ジョイント部)
11: Networking & Communications (回路5: ネットワークと通信)
12: Final project preparation (最終プレゼンテーション準備)
13: Final Project presentation (最終プレゼンテーション)

週ごとに課題をこなして発表しなければなりません。
特徴としては、造形サイドの演習と回路サイドの演習がサンドイッチ形式になっていることがあげられます。
受講生は、大きく分けて、建築/プロダクトデザインサイドの人間と、情報/電子工作系の人間、(そしてその中間ともいえるのですが、メカニカルエンジニアリングを学んだ人々)がいますが、それぞれの知識やノウハウを混合することが意図されてもいるようです。
Prof. Meejin YoonのSupplemental Talkは、毎週、建築サイドとメディアサイドの人間がショートレクチャーをする、という構成にもなっています。

興味深いのは、アイディアを出すのにほとんど時間をかけない講義であるということです。
ある意味で、IDEO流のデザインの上流過程に時間をかけるプロセスと対極的で、ともかく身体を動かして手を汚しながら「ものをつくる」行為に焦点を当てており、プロトタイピング能力の向上と、ものづくりの「自由」の獲得に価値が置かれているように感じています。

さてこの科目、毎週の進捗状況をウェブに日記形式で公開していかなければなりません。
私の日記はこちらです。
http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.10/people/hiro.tanaka/index.html
みんなの日記はこちらです。
http://fab.cba.mit.edu/classes/MIT/863.10/

授業ではMarcuryという分散管理システムを使っていますが、受講生も戸惑っているようで、これは日本に帰ってからあまりワークしない気がしています。しかし毎週日記を公開し、それを見せながらプレゼンするというアイディアは良いですね(PowerPointプレゼンよりも遥かに良いです)。

私にとって、この科目は、FabLabJapanのための重要なステップであると同時に(自分のスキルを磨き直すこともさることながら、教育方法などについても)、これまで実装できなかった溜めてきたアイディアたちを具体化するチャンスでもあると思っています。

How To Make Almost Anything